【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「あ、プリ機あるっ!撮ろうよ!どれがいい?」

「ど、どれでもいいよ?紀野が決めて?」

「んーじゃぁ…これっ!」


 そういって紀野ちゃんが選んだのは、正直…目の大きさなんて軽く2倍になるんじゃないかってやつ。

 派手になりすぎて見せられたもんじゃない…。

 そもそもそんなことを言うのなら、最初から自分で選べって話なんだけど。


 初対面で密着とか共同ポーズとか、そういうノリに慣れてないからかな。

 すでにぐったり。


「あー!UFOキャッチャー!」


 子供のようにはしゃぎまわる紀野を見ているだけで、十分に体力を消費する。


 私やっぱり。

 二人がいなきゃ駄目だよ、勝人も藤架も。


「あ、服見に行こう!」

「ごめ…っ私用事あって、もう帰らなきゃ」

「ほんと!?ごめんね…っ。なんか振り回しちゃって」


 …素直に謝ってくれてるのに。

 そういうなら最初から気をつけようよ、とか思ってしまった。


「駅どっち方面?」

「下りだよ」

「あー、あたしも!一緒帰ろ!!」


 ―――うっとおしいと感じてしまう自分がいた。

 それがほんの一瞬であると、信じたい。


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