【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
卒業式
 ―――入試の日から一週間。

 とうとう、卒業式の日がやってきた。


 あの日から、授業なんてまったくなくてほとんど一日卒業式の練習。

 姿勢やら何やら、正直授業より面倒だったけど…。

 みんな、いい式にしようって、真面目だった。


「春ー!寄せ書き書いてぇぇぇっ!」

「え、今っ!?」


 過剰な反応を見せつつも、ペンとアルバムを受け取る。

 …本当に、今日で最後なんだなぁ。


「…っはい。あ、私のも書いて?」

「了解っ!」


 こんなやり取りを、朝から10回以上繰り返している。

 集合時間より1時間も前に来て、寄せ書きの書き合い。

 みんな、離れたくないんだ……。


「みんな座ってー。説明するから」


 教卓の椅子に座っていた先生が言った。

 わやわやと席に着く生徒たち。


 説明が始まった。

 内容はほとんど普段聞かされているようなことだから、戸惑うようなことはなかったけど、ただ…この時間さえも寂しくなる。

 ここしばらく、少しセンチメンタルな私。


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