【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「春ー?説明終わったよ」

「大丈夫か?意識飛んでたみたいだけど」

「へっ!?」


 いつの間に終わってたのやら。

 まったく気づかなかった。


「…5分後に並ぶって。時間見といてよ?」

「お前が見ろよ」

「うるさい佐久間」


 藤架も…すぐに元気になった。

 本当のところ、まだ心配なんだけど。


「…忘れないでね」


 突然藤架が呟いた。

 やっぱり、まだ――。


「…っ絶対受かるよ!むしろあたしのほうが危ないし」

「いや…本当、あたし危ないもん」

「大丈夫だって。得意教科に限って簡単だった、最悪な俺と比べりゃ」


 …そっか。

 得意教科が簡単だと、差をつけられないんだ。


 改めて、勝人の問題の深刻さを考えた。


「――私のこと」

「ん?」


「離れても忘れないでね。絶対私も忘れない」


 離れない確証なんて、ないから。

 そんなこと分かってたけど、改めてそれを考えてしまったから。


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