ONLOOKER Ⅱ
「……いきますわよ」
重々しい物言いで、麗華が箱の中に手を入れる。
そしてその手を、ゆっくりと、ゆっくりと引き出した。
指の間には当然、折り畳まれた紙切れが一つある。
賽は投げられたのだ。
張り詰めた空気の中、これまたいやに緩慢な動作で、その細い指先に摘まれた紙を開き──。
大友麗華嬢は、固まった。
ぴしりと、まるで石で造られた像のようにだ。
数秒間そうして凍り付いたあと、目を伏せて、俯いて、それから頭を左右に振る仕草で、目に見えて気を取り直したのが分かった。
結果を確認した彼女の予想外の反応に、息を呑む生徒たち。
興味のなさそうな者は、ごく少数だ。
そして、麗華がついに読み上げたのは。
「──西林寺、……直姫くん。」
直姫は、顔を上げた。