ONLOOKER Ⅱ


「え……今の声……」
「最後のは、まこちゃん、だよねぇ……?」


聞き間違いではなかったようだ。

恐らく、誰もが耳にしていた。
真琴の、戸惑ったような、驚いたような声。

そしてその直前に、彼の名前を呼んだのは。


「あれって……」


色白の肌が透明になってしまいそうなほど蒼白して、紅が呟く。
思考だけでなく、血の巡りまで止まってしまいそうなくらい、戸惑っている。

直姫はその時、自分の思い付きが間違っていなかったことに、確信を持った。
自分と、そして、彼の。


『あんたも?』


あの言葉の意味はやはり、直姫も気付いたか、という、確認だったのだ。
そう考えれば、その後の勝手な言動も辻褄が合う。

そして、それは、もしそうだとすると。


「夏生!? どういうことなんだ、二人は」


もし、そうだとすると。


「あいつらは……!?」
「紅せんぱ、」
「紅ちゃん落ち着いて!」


あの、二人は。


「夏生っ!!」


きっと、


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