ONLOOKER Ⅱ
「でも……恨みっこなしですものね、仕方ないですわ」
「見た目でいえば、申し分ない二人ではなくて?」
「きっと可愛らしいですわ、西林寺くんのシンデレラ!」
女子たちが口々に言い出したのだ。
ちょっと待てそれはおかしいと抗議する間もなく、男子から賛同の声が上がる。
「意外と……いいんじゃないかな?」
「どうせなら他の役も全部くじで決めちゃおうか!」
彼らの目線は明らかに、自分の失敗を恥ずかしそうにする麗華にあった。
きょとんとした彼女の顔が、みるみる戸惑いの表情に変わっていく。
「え? でも」
「大友さんてば、おもしろいこと考えるね」
「さすが大友さん!」
「早いところ、残りの配役も決めてしまおうよ」
ちょっとまってどういうことなにこれ、と真琴は呟く。
いち早く発言した男子生徒は、麗華が気を取り直して笑顔を浮かべるのを、嬉しそうに眺めていた。
彼女はずれてはいるしぶっ飛んでもいるが、見た目は凛々しく可愛らしい花のようなお嬢様なのだ。
「え!? もしかして大友さんのフォローのつもり?」
当事者の一人であるはずの真琴の声は、気分の乗ってしまった彼らの前に、さらりとただ流されていくのであった。