ONLOOKER Ⅱ
だが、分担して仕事を持ち帰ったところで、きちんと家でやってくるとは到底思えない役員が、一人どころでなくいる。
ならば誰かの家に集まって終わらせてしまおう、と言い出したのは、恋宵だった。
里吉を護衛する役目も果たせるし、恋宵も泊まりで遊びに来ている。
石蕗邸ならば都合がいいだろうということで、ここに集まった。
のは、いいが。
「いち、に、さん、っと……『別れた彼女にいちゃもんをつけられ慰謝料を請求される。100万円払う』……ってなにこれぇー」
「次、僕ですね。えーっと、『逆玉に乗った。婚約指輪代に180万円払う』……人生ゲームってこんなに巨額が動くゲームでしたっけ……?」
「あたしなんか『イジメを受けて訴訟を起こす。裁判に勝って慰謝料300万円貰う』にょろよう。イラストがゲス顔でなんかイヤぁ~」
「つーかこれ、おかしくない? スタートして二マス目が『死霊に祟られる。恐怖体験記を出版したらそれなりに売れる。印税250万円貰う』だよ?」
「『大金持ちの息子を誘拐する。身代金1億円手に入れる』……。犯罪じゃん」
「『3億円の借金を残して親が急逝。借金を返すためホストに転職。職業カードを交換』」
「『造花ブーケ作りの内職を5時間やって600円貰う』。ここだけ平和な気はするが……内職とはなんだ?」
生徒会の仕事を片付けてしまうという名目で来たものの、実際に彼らがやっているのは、大人数で行うにはとてもポピュラーな、人生を縮図にしたあのボードゲーム。
しかしなぜかなんとも言えない微妙な内容しか書かれていないうえ、一マスで巨万の富が動くこともあるという、目茶苦茶な内容だ。