ONLOOKER Ⅱ
ちなみに部屋の隅には、四組の布団が積まれている。
里吉は見た目こそスレンダーな美少女であるが、体のほうはれっきとした年頃の青年だ。
さすがに恋宵と二人部屋というわけにもいかず、紅と仲の良い使用人の女性とで、しばらくここに寝泊まりすることにしたのだ。
紅は背後の襖を一瞥し、吐息と言葉を一緒に吐き出した。
「着替えて来るから絶対に入るな、だそうだ」
「帰ってきてすぐ、一人で部屋に籠っちゃったにょろ」
「え、すぐ?」
一度家に帰ったり、学校での用事を済ませたりして彼らがここに集まってから、もうかれこれ一時間は経つ。
紅と里吉は先に帰っていたはずだから、それ以上の時間、もう一つの和室に籠りきりということだ。
着替えにしては、いくらなんでも時間がかかりすぎではないのか。
そんな思いで、彼らはちらりと顔を見合わせた。
聖が笑いながら言う。
「メイクでもしてんじゃないの?」
「一時間もかかるのか?」
「あーいるよねぇ、メイクと髪に二時間とかかける人」
「テレビに出る人基準じゃないですか」
「そんなことないにょろよう。女の子は色々と時間がかかるものなの」
「男ですけどね……」