ONLOOKER Ⅱ
変なすごろくを進めながら、だらだらと口を動かす。
またしばらくそうして過ごしていると、里吉が籠っているという部屋の、襖が動いた。
滑らかに木と木が擦れ合う音。
一体どんな気合いの入ったばっちりメイクで登場するのかと、彼らは顔を上げる。
「お待たせいたしました」
これまでの態度とは打って変わってお淑やかな口調。
正座で襖を閉める里吉の姿を見て、まともな反応など、できるはずもなかった。
「……は?」
思わず声を上げた直姫の後ろで、真琴が目を丸くする。
「ふ、振り袖?」
「京都友禅ですの。夏生様、どうですか?」
三つ指を突いて下げていた頭を、里吉はゆっくりと上げた。
光沢のある赤地に黄や橙の紅葉がちりばめられた、それはそれは絢爛な着物。
それを見事に着こなし、纏め上げた髪には簪まで刺して、紅を差した唇を、上品に微笑ませる。
その振る舞いは、まさに大和撫子、といったふうだ。