ONLOOKER Ⅱ
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そして、夕方。
ここ数日ですっかり恒例になってしまった、放課後に集まる石蕗邸の離れ。
彼らは例の和室で、生徒会活動とは名ばかりの、ただ居心地の良いお屋敷でだらだら過ごす集会を開いていた。
もちろん付近には、黒スーツに強面の男が六人、待機中だ。
和室の隅に二人、部屋の外、襖の前に一人、そして庭を三人がうろついている。
そのいかにもボディーガードな見た目や、一人一人の体積がいちいち大きいこと、一部屋に合わせて十人という人口密度などのせいで、だだっ広いはずの部屋なのに、いやに圧迫感に包まれていた。
襖に視線を固定したり部屋の外に耳を済ませていたりする彼らを見、次いで夏生をちらりと横目で一瞥して、聖は口を開く。
「おら、次なっちゃん」
「ちょっと、喋んないで聖、吹き出すでしょ」
「え? なんで喋っただけで笑われんの俺?」
「死ぬほど真顔でなにゆってんのにゃ」
彼らが囲むテーブルには、所々に穴の開いた、安定感のない積み木の塔が立っていた。
またしても、大人数で遊ぶにはもってこいの、至ってポピュラーなゲームである。
ちなみにこれについても、例の人生ゲームの五人組が特注して作ったものがあったらしいが、貸し出しの申し出は聖が丁重に断ったようだ。
積み木の塔はずいぶん高くなって、どこも隙間だらけになり、もういつ崩れてもおかしくはない状態になっていた。
崩した人には罰ゲームで、その前に積んだ人の言う事を一回聞かなければいけない、という条件がついている。
そして賑やかで、かすかに緊迫した雰囲気の中、夏生が一つの積み木に手をかけたときだった。