悪魔なキミと愛契約【番外編】
シキ……
俺は、やはり無理矢理にでもコイツの記憶を戻したい。
王子として、国を守らなければいけないことは重々承知している。
しかし――…
どうしても
コイツの、こんな切なそうな表情を見たら
今すぐに抱きしめて、サラの名を呼びたくなるのだ。
「……ッ!!!!」
気がつけば、また、サラの腕を強く掴んでいた。
眉を寄せ、瞳を潤せたサラ。
サラの瞳が細かく震え、何か言いたげに、口を動かした。
しかし。
「サ〜ラっ!!!!
おっはよう!!」
後ろから邪魔が入り、サラは俺の手を振り払った。
「お、おはよ」
女友達に向かい、サラが笑みを作る。
今、サラは何を言おうとしていたのか……
邪魔さえ、入らなければ……
「ルカ様も、おはようございますっ!!!」
俺は、『あぁ』と短く返し、そそくさと去って行くサラの背中に目を向けた。