悪魔なキミと愛契約【番外編】
サラの腕を掴む手に、力を加える。
何事かと集まった連中の輪の中。
俺達は、互いに向き合い、しばらくお互いを見ていた。
サラ……
俺がおまえの名を呼んでも、記憶は戻らぬのか。
キセキは、起こらぬのか?
「……せ」
「なに?」
「離せっつってんだよ!!
だから…何なんだよ、おまえ」
俯くサラの語尾は、小さく震えていた。
「おまえ見てると、なんかムカつくんだよ……
何なんだよ…なんでこんなにモヤモヤすんだよ……
ほんっと…わけわかんない」
サラは唇を噛みしめ、前髪をクシャリと握った。
「……サラ。
おまえは、どこまでを、覚えているのだ」
俺が聞くと、周りからざわめきが起こった。
『ルカ様の好きな人って……』
『まさか、サラっ!?』
『うそっ!!
サラを追いかけて転入してきたの!?』
『どういうこと?
だってサラ、なんにも覚えてない感じじゃん!!』
次々に囁かれる言葉。
そうだ。
俺が追いかけてきた女は、コイツなんだよ。