悪魔なキミと愛契約【番外編】
ズルズルと、うどんを無理矢理のどに流し込んだ。
その時――。
食堂の入口あたりが急に騒がしくなった。
先に反応したのは、好奇心旺盛なサチ。
「なに?」
背伸びをして入口の方を覗き見ているサチに聞いた。
すると、サチはパァっと表情を明るくして私に目を向けた。
「黒羽課長だ!!」
「黒羽課長?」
そんな名前の人、ウチの会社にいたっけ?
私も、サチと同じように入り口の方に目をやった。
でも、あまりの人だかりで課長の姿が見えない。
「ほら、チヅルの部署でも噂になってない?
本社からこっちに移動になった、営業部の黒羽課長」
「ああ、なんか聞いた事あるかも。
でも、どんな人?
んで、あの人だかりはなに?」
ただでさえ吐き気がするのに、急に増えた人数と、キャッキャ騒いでいる女性社員の甲高い声で、更に吐き気に襲われた。