アナタニアシタヲ
西病院に着くと、そこを通っていたナースさんに、
「高橋です。高橋公江です。どこですか。」
すっごく、急いでた。
「高橋さんですね。204号室です。」
お礼も言わず、204号室に突っ走った。
時々、注意されても、聞かず、走った。
204号室に着くと、
「私、茜。入っていい?」
「えぇ。いいよ。茜。」
優しいおばあちゃんの声。温かみがあって、聞くと安心する声。
「おばあちゃん!」
おばあちゃんの顔を見たら、おばあちゃんを抱きしめた。
ずっと、ずっと。
「茜。いいかげんにはなしなさい。」
ってお母さんに言われるまで、抱きしめた。
やっと、大好きなおばあちゃんに会えたらと思ったら、
「茜。ちょっと。」
お母さんに病室の外で話って言われた。
「なに。お母さん。」
「茜。事前に言っておこうと思うの。おばあちゃんはね、入院しなければいけな
 いの。つまり、家ではもう会えないの。」
そう言われたとき、ショックだった。
「そして、おばあちゃんに無理させないで。おばあちゃんは今までと違うのだか ら。今もきっと、無理してたわよ。さっ、今の話は無かったように、おばあち
 ゃんに接しなさい。」
私は、自分がどんな顔をしているか分かりもせずに、病室へ入っていった。
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