そのお前に話がある。
「とおる。」

あ、僕の名前はとおると言います。漢字で書くと『透』です。どうもはじめまして。

僕の名を呼んだこの人は美紀という名の女性。

可愛らしくて素直な子。

そう、付き合っているんです、僕と美紀は。


「もうすぐ付き合って1年になる」と彼女が昨日言っていました。



「何してるの?」

「別になんにも」

「ごはん食べた?」

「まだなんにも」

「食堂に行こうよ」

「よし、行くか。和也は?」

僕らの方を正面から見ていた和也は煙草を地面に落として足で煙草の日を踏み消した。
それを見た美紀が
「あー!だめよ和也。ちゃんと灰皿に捨てなくちゃ」と吸い殻を拾う。

「透、俺、帰る」
和也はそう言って駅に向かって歩いて行った。

僕が勝手に思っているだけだけど、和也は美紀に想いをよせている。
だって彼は美紀が目の前にいると片言になる。

美紀と和也は幼稚園から中学校まで一緒でいわば幼なじみだ。親同士の交流もあるみたいだ。

美紀は幼なじみだからこそ、そういった対象に見れないのかもしれないが、和也は幼なじみの美紀しかそういった対象に見れないようだ。

「あいつ、バイクで来て電車で帰るのかな」
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