俺様婚約者~お見合いからの始まり~
澤乃井ビルの地下駐車場まで歩いて来て悠斗の車まで来ると、彼はスマートに助手席のドアを開けて私をエスコートする。

…ほんと、女性の扱いに慣れてるんだから。

今まで何人の女性をこうして車に乗せてきたんだろう。

車を走らせてしばらくすると悠斗が静かに話し出した。

「あのさ…、さっきの男だけど、親しいのか?
その、…そういう関係なのか?」

は?誰?

…ああ、コンパ男か。

「いいえ、別に」

短く答えると、納得できないのかさらに聞いてきた。

「今日は、二人で会っていたのか?」

「いいえ」

「他にも男がいたのか?」

「ええ」

すると車がキキッと音を立てて急に止まり、身体がガクッと前のめりに揺れた。

「……!」

私は驚いて悠斗の方を見た。

彼は軽く私を睨みながら今の衝撃で乱れた前髪をかき上げた。

「…何だ、その態度は」

声が怒ってる。

「…別に」

またしても私は彼の質問を軽く受け流した。




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