俺様婚約者~お見合いからの始まり~
澤乃井建設ビルの出口近くの通路のど真ん中に車を止めたので、仕事を終えた澤乃井建設の社員達が車を避けて何人も通り過ぎる。

みんな何事かと車を振り返って珍しそうに軽く中を覗いていく。

そんな視線にお構い無しで彼は話を続ける。

「…何が気に入らない?
何故話をしない」

「話したくないのはあなたでしょ」

「…は?…何を言ってるんだ?」

訳が分からないと言う様な視線で彼は私をジッと見た。

「会えてすぐなのに、このまま帰そうとするなんて。
所詮私なんて会社の為のお飾り婚約者ですものね!」

私が一気に話すと悠斗は呆気に取られた様に固まって私を見ていた。

「…百合子、…誘ってるのか?」

…は?

今度は私が呆気に取られる。



< 106 / 314 >

この作品をシェア

pagetop