俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「やあ、どうも、支配人。」

悠斗が軽く彼に挨拶をすると彼は満面の笑みでうやうやしく頭を下げた。

「今日はスイートに入りたいんだけど、空いてる?」

……は…?

今、スイートって言った…?

「はい、空きはございます。プレジデントは生憎、埋まっておりますが、ロイヤルならばご案内致します」

「あ、うん。それでいい」

「はい、かしこまりました。
しばらくお掛けになってお待ちくださいませ」

そう言い残すと支配人が駆け足で戻って行く。

ポカンとしながら黙っていると悠斗が側のソファーにドカッと座り、脚を組んで煙草に火を点けた。

…はっ!!しまった、ボンヤリしている場合じゃないわ。

私も彼の隣に座ると悠斗の方を向いた。

悠斗は煙草の煙を細く吐き出しながら黙っている。


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