俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「きゃー、見て見て、悠斗!
壁一面のテレビ!
映画のスクリーンみたいよ!!」

隣の部屋のドアを開けて思わず彼に話しかけた。

言ってからはっと気付く。

…彼は何度も訪れているから、知ってるわよね…。

色んな女性と…。

「…どうした?急に大人しくなって」

ネクタイを緩めながら悠斗が私の顔を覗き込んだ。

淡々と冷静な態度を崩さない悠斗の顔を見ると、一人ではしゃいで浮かれている自分が虚しく思えた。

フッと泣きたくなる。

「何だよ、今さら。
後悔してるのか。

…いいよ、何もしないから。
とりあえずシャワーでも浴びて酔いを醒ませ」

目を逸らして俯く私に彼は冷たく言い放つ。

…違うのに。

後悔なんて、してない。

むしろ、初めから彼との繋がりを望んでいたのは私の方だった。

たとえ、彼が私に興味なんてなくても。



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