俺様婚約者~お見合いからの始まり~
………。

……眩しい…。

そっと目を開く。

…夢…?

ああ…、夢か…。

夢に祖父が登場したのは、何年ぶりなのか。

さっきのあれは…、…そう、十二年前の国際バイオリンコンクール…。

優勝したあの時、俺は小学校五年生だった。

何で今更…。

しかも、今日に。

今日は澤乃井建設の中国建材工場の完成記念祝賀会がある。

その席で俺を次期後継者として紹介する、と父は言っている。

あんな会社…、興味ない。

従兄弟の亮太に渡せばいいのに。何で俺が…。

そんな事を考えながら時計を見ると、俺は、はあ、とため息をついて部屋のシャワールームにトロトロと向かった。



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