俺様婚約者~お見合いからの始まり~
向かいから歩いて来る女性とぶつかりそうになる。

「あっ…。ご…ごめんなさいっ」

「…いえ…」

彼女は両手に持っている皿に気を取られて前を見ていなかったらしい。

彼女が手にしている皿には山盛りの料理が隙間なく並べられている。

「………」

俺はそれを見て思わず固まってしまった。

おい、おい、……。
それ、全部食べるのかよ…。

豪華な晴れ着の長い袖をひらりとはためかせて、その女性は軽く微笑みながら俺に会釈すると、スッと俺の横を通りすぎる。

俺は振り返りその後ろ姿をポカンと見送った。

すごい女の子だな…。

面白い。

俺は逃亡計画を変更してそっと彼女の後を付いて行った。




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