俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「百合子ーっ」

その時、少し離れた場所から誰かを呼ぶ声が聞こえて、目の前の彼女がビクッと肩を揺らした。

「やだ、いないの、ばれちゃった」

俺を盾に身を屈め、隠れ始めた彼女を俺はジッと見ていた。

「ちょっと、動かないでね。…ボンボンのところに連行されちゃう」

……。

だから、そのボンボンはもうすでに目の前にいるって…。

「あっ!見つけたわよ!
ちょっと、来なさい!」

彼女の母親らしき人が彼女を見つけ出すと、引きずるように彼女を連れて行こうとした。

「離して、ママ!
嫌よ!そんな人と、会わないからっ」

「何言ってるの!!もしかしたら、気に入られるかも知れないのよ!!」

………。

この親子…、本当に面白い。


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