俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「だがな、悠斗。結婚となるとやっぱり未成年はちょっとな…。」

父は困った様な顔をしながら言った。

…まあ、確かにな。

十四才とは、思わなかった。

化粧と晴れ着のせいなのか、女性らしい色香が何となく漂っていたけどな。

「…ああ。わかってるよ」

俺は思った以上に子供だった百合子の事は忘れよう、と思いながら答えた。

「…で、さっき言った菜緒子さんなんだがな、一度二人で食事でもしてみたらどうだ。」

「…うん、分かったよ」

もう、どうでもいい。

俺の人生は、きっとこれから先も自分で決めていい事なんて何ひとつないだろうから。

澤乃井のため、父のため。俺は飾りでしかない。




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