俺様婚約者~お見合いからの始まり~
ピタリと動きを止めた俺を菜緒子が下から不思議そうな顔で見ている。

「…悠斗…?」

俺の頭の中は楽しそうに笑う百合子の笑顔でいっぱいだった。

…何で…。

まだ子供じゃないか。

俺…どうかしてる。

「ちょっと、どうしたの?」

…百合子にもう一度…、会いたい…。

「悠斗さんてば!」

…あ…。そうだ、今ここにいるのは菜緒子だった。

俺の胸の下で不貞腐れる菜緒子の顔を見る。

…違う。俺が欲しいのは、この女じゃない。

色々考えながら固まっていると、菜緒子が急に起き上がり今度は逆に俺を押し倒すと、俺の上に跨がってきた。

「………!」

彼女は怒りの視線を一瞬俺に向けたがすぐに頭を下げて俺の身体に顔を近付けていった。






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