俺様婚約者~お見合いからの始まり~
襖がスッと開き、女性が二人正座をしてこちらを見ている。

年配の気の良さげな人と、もう一人は…。

…俺は数年振りに見る百合子の美しさにしばらく呆気に取られていた。

少女の頃の面影を残しつつ、さらに魅惑溢れる女性へと変貌を遂げている。

二人は三つ指を付いて揃って頭を下げた後、部屋の中へ入って来た。

向かいに座る百合子の顔を見詰めながら俺は無言でしばらく固まっていた。

彼女も何も言わずに視線をあちこちに泳がせながら、そわそわしている。

時々こちらを見ている様だが、俺がじっと見返すとフッとまた目を逸らす。



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