俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「本当に、申し訳ありません、まだまだ子供で…。

私も毎日、手を焼いておりますのよ。

…だけど…、本当にあの子でよろしいのですか。

悠斗さんほどの方なら、何もあの子にこだわらなくても…」

百合子があの時と同じように、着物の裾をたくしあげて走って逃げ去った後、鹿島常務は申し訳なさそうに俺に言った。

だけど、百合子にこだわる俺の真意を疑っているような物言いだ。

娘を嫁に出した後で、俺が浮気でもするとでも思っているのだろうか。

「いえ…、元気で退屈しなくていいですよ。

どうかご安心下さい、俺は娘さんを決して悲しませる様な事は致しません」

「…あ、あら…。私、決して疑っている訳では…」

「分かっています。
ただ、知っていただきたかったんです。

僕が…、本気だという事を」




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