俺様婚約者~お見合いからの始まり~
悠斗はそう言って私をスッと両手ですくう様に抱き上げ、そのままベッドに向かった。

悠斗の細い指がスッと伸びてきて、私の髪から、赤い牡丹の絵が印象的な大きめの平たいかんざしをすっと抜き取った。

「…悠斗…」

私が小さな声で名前を呼ぶと悠斗はにこりと笑ってから優しく唇を合わせてきた。

「…たった一言で…誘われるなら…何度でも、言ってやる…。

…愛してる…。

ずっと俺の…側にいろ」

……ああ、どうして、この人は…。

私の心をいつでも揺さぶるのだろう。

思えば最近は、怒るのも、悲しいのも、寂しいのも、嬉しいのも…、…恋しいのも…、全ての感情が悠斗に向かっている。

…これが、人を愛するという事…。

彼と…結婚する。
それは私の中で大きな支えとなり、自信になる。

悠斗が慣れた手つきで着物の紐を解いて帯を外していく。

…脱がせた事があるのかしら…。



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