俺様婚約者~お見合いからの始まり~
私も立ち上がって男の後ろに立ち、彼の頭を見上げて声を掛けた。

「あの…、こんなの、おかしいと思うんです。

私は今日まであなたの事を知らなかったし、あなたもそうでしょ。

私はきちんと恋愛してから結婚したいの」

男がくるりと振り返って私を見下ろす。

「…きちんと…?」

「そうよ、だって好きじゃないと…、んっ…!」

私が言い終わらないうちに突然、口が塞がれた。

「ちょ…、んっ!」

男を両手で押しやり唇を離す。

「なっ、何するのよ!、どうして…!」

男は涼しげな顔で言った。

「…これから、『きちんと』恋愛すればいい。
俺はいつからでもいいよ。

…今からもっと、確かめてみる?」


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