俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「まあ…!」

母は口を手で押さえて驚いている。

彼の車がスッと走り去った後も、私達母娘は呆然とその場に立ち尽くしていた。


「…あんた…、昨日はあんなに嫌がっていたくせに…」

母がニヤリとしながら私の方を見る。

「…や…、これは、その…」

「ね?素敵な人だったでしょ?
お母さんはね、あんたの趣味くらい分かるのよ」

…会社の為でしょーが…。

何も言えずに黙る私に、さらに母は言った。

「あんた、ココ、隠しときなさいよ」

母は自分の首筋あたりを指差して、おほほほ、と笑いながら家に入って行った。

…?ココ?って…。

彼の言葉が甦る。

『痕、付いちゃった…』

あンの、男~!!


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