俺様婚約者~お見合いからの始まり~
その時…。

後ろから腕を強く掴まれた。

「………!」

驚いて振り返ると…。

「…悠斗…!」

一気に酔いが醒めたと同時に頭がしっかりと機能し始める。

彼は走って来たのか、髪は風に揺れてサラサラと乱れ、肩で息を整えている。

髪の奥に光る黒い瞳は私を睨み付ける様な眼差しだ。

仕事帰りなのかきっちりとネクタイを締めたスーツ姿にアタッシュケースを手にしている。

驚きで固まる私の隣でコンパ男が最初に口を開いた。

「なっ、何なんだよ、あんた。離せよっ」

「…は…?」

悠斗が彼をギロリと睨んだ。

「は…離せって!
行こう、百合子ちゃん!」

そう言いながら彼が私の空いたもう片方の手を掴もうとすると…。



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