俺様婚約者~お見合いからの始まり~
パシッ!!

悠斗は私をぐいっと自分の方へ引っ張りつけると、もう片方の手で彼の手を叩き払った。

「触るな」

彼を上から冷ややかに見下ろしながら悠斗は静かに言った。

「…人のもんに手出そうとしやがって…。
今後、百合子に指一本触れるな」

悠斗から出る気迫と怒りのオーラに彼は何も言えずに払われた手を引く。

…やばい…。
本気で怒ってる…?

だけど、何もしないって言ってたから、深い意味も何もないのよ?

だけど私も、何も言えずにただ、怒りの表情を崩さない悠斗の端正な顔を呆然と見つめていた。

しばらくして「ちぇっ、何なんだよ」と舌打ちして男は歩き去って行った。





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