先生が教えてくれたこと



「あ、あの…」



頑張って声にする。


もう躊躇ってたって、緊張してたってしょうがない。


よし、あたしもちゃんと伝えなきゃ!


1回深呼吸をしてから、あたしは口を開いた。



「あたしも…先生のことが好きでした!」



言えた…

やっと言えたんだ!



あたしの心のモヤモヤは晴れ、達成感で満ち溢れてていた。


でも、


「…過去形?」



先生はあたしの隣に腰を下ろしつつ、不満げにそう聞いてきた。



せっかく頑張って言ったのに!!


その気持ちが嬉しさを上回ってしまい、思わず言い返してしまった。



「先生だってさっき過去形だったじゃないですか!」


「俺の場合は別だ。」



この言葉で、あたしは精神的に大きなダメージを食らった。



「先生ひどいよ…あたし頑張って言ったのに…」



自然と視界がぼやけて来て、慌てて下を向く。


こんなことで泣くところなんて、先生に見られたくなかった。






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