勘違いしないでよっ
「神埼、教科書はどうした?」
まぁ、当然の質問だ。
「えと…あの…」
忘れた、ってわけじゃない。
机の中に入れてあったはず。
「忘れたのか?」
「いや、そういうわけじゃ…」
あ…しまった…。
忘れたって言えばいいのに
嘘がつけないあたしのバカ…
「なんだ?持ってるなら出しなさい。」
先生は不思議そうな顔をして
あたしの机の中に手を突っ込んだ。
「あ…」
机の中から出された手にあるのは
…あたしの物じゃない、漫画。
「なんだこれは。」
「その…」
言い訳なんて出来なかった。
だって、睨まれてるの気付いてたから…
『教科書と入れ替えられました』
なんて…。
「弛んでるんじゃないのか?
勉強が出来るからって受験を舐めるなよ」
屈辱だった。