勘違いしないでよっ


父と2人。
並んで歩いて、
会話もせずに歩いていた。

父が来ているスーツが乱れていた。
こんな着方してるの、初めて見た。

きっと、慌てて来てくれたんだ
と思った。


「お父さん…失望した?」


あたしは聞こえないくらいの声で
父に訪ねた。

返事を待っている数秒が
とても長く感じた。


「ううん。日和は
勉強もよく頑張ってるし
失望なんかしてない。
これで勉強が出来なくなった
ってわけじゃないでしょ?」


父は知ってる優しい顔で
あたしに言ってくれた。
それで、すごく安心したんだ。


「そっか…。」


なのにこんな返事しか出来なかった。

言い訳は、父にさえ出来なかった。
しようと思わなかった。

でも…


「このマンガは、日和のものなの?」

父はこう言った。


< 86 / 135 >

この作品をシェア

pagetop