勘違いしないでよっ

「え?」

あたしは聞き返す事しか
出来なかった。

どうして?
どうして分かるの…?

「これ、少年マンガでしょ?
今テレビでやってる、
うちの生徒が休み時間に
これ読んでたよ」

父は渡されたマンガを
パラパラ見ながら言った。

「……」

違う、って言えなかった。
後が怖かったから…


「日和?言ってごらん?
怒らないから」


言っても、大丈夫なの?
本当の事…

あたしは、失望されたくない。


「これ…あたしのじゃない…」


声が震えてしまった。
乾いた喉を振り絞って
たった今、味方だと確認した父にだけ
本当の事を言ってみよう、
そう思えた。


「学校行って、朝礼が終わって
授業受けようとしたら…
机の中の教科書、全部
マンガになってて…」

本当だよ。
本当にそうなんだよ…


「うん、だと思った。」


父がそう言った頃には
もう家に着いていた。



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