勘違いしないでよっ

「日和、マンガは買ってきたら
リビングですぐ読むもんね。
これを読んでる所は見た事ない」


父は、勉強以外
あたしに興味が無いと思っていた。
あたしは父を侮っていたのかもしれない

父は、あたしの事を
しっかり見ていてくれてた。


「知ってたの…?」

「はは、お父さんを
舐めてもらっちゃ困るなあ。
娘の事を見てるくらい
当たり前の事だ」


あたしの父は
この世でいちばん理解のある
自慢の父だと、再確認した。


「そっか」


今度は嬉しかった。
でも言葉は見つからなくて
そっけない感じになってしまった。


「酷い事するね」

父はソファにあたしを促して
自分はキッチンに立った。
そこで紅茶を淹れながら
下を向いたまま続けた。

「日和は、何も悪くないのにね。
アニメが好きなのも、
マンガが好きなのも、
悪い事じゃない。
人に合わせて自分を
我慢する必要なんてないんだよ」


これは今のあたしにとって
何よりも救いで、
何よりも温かい言葉だった。

それを父が言ってくれた。

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