それはたった一瞬の、
1.お迎えです


「藍火(アイカ)、朝だぞ起きろ」

「うるさいっ、言われなくても起きる!」


寝起きの悪い私の一日は、いつも父さんの声から始まる。

食卓の上には父さんが作った、決して上手とは言えない料理が並んでいる。


別に今どき父子家庭なんて珍しくも無い。

母親はいないけれど、不幸を自慢する気も無いし。

なんて、他の父子家庭の人が聞いたらきっと怒るんだろうけど。


「父さん、この目玉焼き不味い」

目玉焼きもまともに作れないのか。


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