それはたった一瞬の、
優雅な物腰でよもぎちゃんが微笑む。
「もう少し付いてきて下さい、藍火様。会っていただきたい人たちがいます」
悪の組織だったらどうしよう。
まだ不信感が拭えない私は、半信半疑でよもぎちゃんに付いていく。
見知らぬ街にひとり取り残されるのは御免だった。
「その人たちってどんな人?」
「とても面白い人たちです。藍火様がお見えになるのを、首を長くして待っているはずですよ」
「私、そんなに待たれるようなことした…?」
そもそもこんな街に来た覚えも無い。
「えぇ、貴女様は私たちにとってとても大切な御方ですので」
頭の中が疑問符だらけだ。