それはたった一瞬の、


灰色の空の下、私たちは歩を進める。

やがて小さな建物の前でよもぎちゃんが足を止めた。


「こちらです」

そう言って戸を開けた瞬間、人がなだれ込んできた。

「わぁっ!?」

つぶされそうになって慌てて避けると、一番下に敷かれた人が叫び声をあげた。


「おい!お前ら退け!!」

「あいてて…。ちょっとぉ、体重かけないでって言ったのにひどいかも」

「それより。せっかく藍火様が来たのにドン引きされているよ」


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