それはたった一瞬の、


この人たちに青空を見せることだってできるはず。


「相談に乗ってくれてありがとう、よもぎちゃん」

「藍火?」

すっくと立ち上がれば、さっきよりも足取りは軽かった。

重力が一気に弾けて散っていったみたいだ。


「傷付いても私は、本当のことを知りたい」

嘘で固められた平穏よりも、真実で溢れた不穏を望む。


そこに嘘が無ければ必ず開ける道はある。

時計の針がカチリと進む音が、大きな音として耳に届いた。



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