それはたった一瞬の、
シルクハットの下、見えない表情が呆れた色を宿す。
「空に関する質問だったら、僕は答えられないよ」
私は大きく首を振る。
知っているくせにそれでもその質問から私を遠ざけようとする彼は、やっぱり嘘つきだ。
「空のことじゃない。柊のことだよ」
声が震えて、握りしめた拳も頼りなく力が抜けていく。
そんな私を見て彼が苦笑する。
だけどそれでも引き下がることは、できない。
今まで大きなことを見落としていたんだ。
そんなことにも気付かず、私はここで笑っていたんだ。