それはたった一瞬の、


「気味悪がられて当たり前なんだ。
だけどそれでも藍火、君なら僕を怖がらないと信じてる」


ずしりと鉛を含んだような重たい言葉に、しかしためらうことはなかった。

だから強く言い切ることができた。

「だったら私は、柊が信じてくれる私を信じる」


ゆっくりとシルクハットがずらされる。


今まで見たことのなかった、柊の素顔は――。



< 125 / 228 >

この作品をシェア

pagetop