それはたった一瞬の、

完成品と不良品



向こうに行けと言われて平気な顔でみんなの中に混じれる程、私は強くなかった。


うつむくよもぎちゃんと肩をすれ違わせて、私は行くあても無く外へ出る。

走って、走って、ひたすら走る。


帰り道がわからなくなってもよかった。
わからなくなった方がよかった。

だけど、息が切れて立ち止まった時にようやく気付く。



今の私は、

ひとりぼっちだ――。


< 154 / 228 >

この作品をシェア

pagetop