それはたった一瞬の、


この手は一体どういう意図を持って差し伸べられているんだろう。

「あの、なんで私だけ様付けなの?」


そう、それが最大の疑問だった。

よもぎちゃんが言っていた、「大切な御方」ということの意味。

みんなに待たれるようなことを私は何もしていないのに。



沙霧が胸を張って言う。

「なぁーに言ってんだよ!そんなの、あんたが…」

「沙霧」

よもぎちゃんの凛とした声が響く。


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