それはたった一瞬の、
夢かと思った。
そうでなければ、私の脳が幻想を映しだしているのかとさえ。
けれど周りのみんなの顔とこの騒ぎを見れば、それが幻想でないことは明らかだった。
スクリーンにひびが入って、次々と空が剥がれ落ちていく。
目の前をよぎるスクリーンの欠片は、最期に美しい青空を描いていた。
「空って、こんなに…」
そこから先、沙霧の声は出てこなかった。
次いで鼻をすするような、掠れた音。
視界に映る人々、みんなが涙していた。
欲しかったもの、望んだもの、思い描いたものが。
やっと、やっと手に入った。