それはたった一瞬の、
これは好きであるというよりは憧れに近いのかもしれない。
だって、彼女は…。
「…不思議だね、よもぎ」
思わず頭部に手をやり、シルクハットがないことに若干不安を覚えてしまう。
自分を隠し、守ってくれるものはもう何も無い。
世界が変わったわけではない。
空が青くなっただけで、彼らの体が元に戻ったわけではない。
世界は変わらず残酷に進むけど、それでも。
希望を得ることができたなら充分だろう?