それはたった一瞬の、


だから柊にとって藍火は救い以外の何物でもなかったのだ。


恋情を抱く暇なんてなかっただろう。

ただうれしかっただろう。

自分を受け入れ、嘘を許さないで接してくれるその存在が。


「えぇ、柊。今も藍火はここにいる。そして私たちを動かしてくれる」




だって藍火は、あの人の――。



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