それはたった一瞬の、
藍色の炎を見たことはないけれど、もし見ることができたとしたらそれはきっと私の心の中に残って離れないだろう。
それほど印象に残っていたから、私はこの名前を付けられた。
私の一日は父さんのダミ声から始まる。
「藍火、朝ですよ」
いつもとは違う声にうっすらと目を開けると、見慣れない天井。
ここはどこだろう。
視線を巡らせると、窓の外には灰色の空。
そうか、私は…。
「藍火ぁー!朝ごはん出来たかもーっ」
「てめぇはうるっせぇんだよ朝っぱらから!耳がキンキンすんだろーが」
「釧奈、沙霧。2人ともうるさいよ」
騒がしい足音と共に突然開けられたドア。