それはたった一瞬の、
けれど父さんはきょとんと首を傾げて言った。
「それはわからないなぁ」
「…え?」
「だって、それは俺が決めることじゃないだろう?俺はそうなるように精一杯の道標を示すけど、本当のエンディングを考えるのは読者だけだ」
いつものおちゃらけた父さんとは違う真剣な口ぶりに、どれだけ作品へ熱意を注いでいるのかが見て取れる。
作品は、作者と読者の両方が創り出すものなんだ。
そんなかっこいい言葉を残して、今度こそ父さんは部屋の中に消えていった。