それはたった一瞬の、


白の中に滲み広がる、幸せの色。


「藍火、っていい名前ね」

「だろう?一生懸命考えたんだ」

女性が小さく息をつきながら男性を見つめる。



「この子が女の子だったら、その名前にしましょうか」

膨らんだ腹に宿る命。

それを慈しむようにゆっくりなで、女性は呟いた。

男性がそれを聞いて飛び上がる。
椅子がガシャンと派手な音を立てて後ろに倒れた。


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